『オー!ファーザー』を観た

普段あまり本を読まない私だけど、伊坂幸太郎さんの作品はいくつか読んだことがある。


『オー!ファーザー』は岡田将生くんが主演するということで映画化された当時に買って読んだんだけど、多恵子ちゃんのキャラがどうしても受け入れられなくて(何言っても付きまとう人って怖すぎない?!)、観ずじまい。
この前TSUTAYAであ行から順に見てたら目に入って、旧作で100円だし、とそんなに期待せず借りた。

正直本を読んだのが2年くらい前で細かいことは忘れてたんだけど、それがかえって良かったなあと思った。
一緒に観てた母が「あれ?あのくだりないの?」と言っていたように、なんとなく物足りない感じは否めない。
でも、実写になることによって、「4人父親がいる」という設定の奇妙さが、意識しなくても常に目に入ってくるから、ただの生活してるシーンがもう既に面白かった。
由紀夫が救出されるところも、なんかチープだし岡田くんの顔は迫ってくるしで感動じゃなく爆笑してたし。

ただ、この話って、由紀夫の友達や家族は無事だった訳だけど、彼らの暮らす世界は決して平穏じゃない。
最近、ハッピーエンドの話でも「この後この人たち別れるかもしれないし、死んじゃうかもしれないし、ずっと幸せとは限らないよな・・・」と考えてしまって切なくなるんだけど、この話もそういう映画だった。

由紀夫が葬儀の夢を見た、と語るシーンがあったんだけど、オチがあっさりしていたぶん、そこが唐突に感じられて、見終わった後になんとなく不安が残った。
由紀夫の見た夢はありえない妄想じゃなくて、いつか直面する現実。それは由紀夫にだけじゃなくて、私たちにも起こる現実。

大切な家族や友達と2度と会えなくなる未来を思うと、つらくて悲しくてたまらなくなる。
でもどうしても避けられないならせめて、痛くなくて、苦しくなくて、急じゃない最期であってほしい。
最近も、若い女の子が亡くなった状態で見つかったとか、自ら電車に飛び込んで亡くなってしまったとか、そんな信じたくないような事件が現実に起きてる。
その度に、少し立ち止まって冷静になったら、あるいは相手にも人生があることを想像出来たら、起きなかったのかなあと思ってしまう。

2時間弱の映画の中で、私は4人の父親たちがすごく愛おしくなった。
形は普通と違うかもしれないけれど、愛情をいっぱい注がれて育った由紀夫はどう見ても幸せな子どもだった。

きれいごとで済まないことがあるのは分かってるけど、それでも、少しでも多くの家族が幸せであって欲しい。
そう思った映画だった。